東京家政学院大学 Tokyo Kasei Gakuin University

世の中が変わる、家政が変える

ニュース・トピックス

ごきげんよう、先輩!(第1回) 日本シンクロナイズドスイミングの名コーチ、金子正子氏

2015/08/01

 

 

○金子正子氏の略歴

1967年東京家政学院大学卒。卒業後、東京シンクロクラブコーチに就任、長年にわたり多くのオリンピック選手を育成されました。

1964年ロスアンゼルスから2012年ロンドンオリンピックまでの8大会をシンクロのヘッドコーチ、監督、日本選手団の チームリーダー等を歴任、日本スポーツ界における女性指導者のパイオニアと称されています。また、数々の世界大会で、小谷実可子氏をはじめとする多くのメダリストを育成されています。

1980年からシンクロ選手強化部長、67年からは日本水連盟初の女性理事、シンクロ委員長に就任。

東京都民栄誉賞、文部科学大臣スポーツ功労賞(7回)、日本スポーツ賞、エイボンスポーツ賞、IOC国際オリンピック委員会女性スポーツオーダー賞等多数の賞を受賞。

現在は日本水泳連盟顧問、日本体育協会評議委員の他、東京都や横浜市のスポーツ審議委員等を務めておられます。

 

 

 

 

 

 

 

国際水泳殿堂の金メダル受賞という名誉を、私がお受けしたのは…。   

 

金子:可愛いわね。

学生(竹内):ありがとうございます。大学ラクロス部のユニホームです。

学生(坪江):本日は町田キャンパスまでお出でいただき、ありがとうございます。

金子先輩は、今年の6月、国際殿堂入りをされました。

おめでとうございます。

名誉ある殿堂入りをされた大学の先輩を持って、私たち現役学生も誇らしく思っています。

ご自身では、これまでの業績のどのような点が評価されたとお考えですか?

金子:国際水泳殿堂は(The International Swimming Hall of Fame)フロリダに本部とミュージアムがあって、国際オリンピック委員会に承認されている水泳種目の競泳・飛び込み・水球・シンクロ・オープンウオーター・マスターズの各部門から毎年選手・コーチを世界で一人づつ顕彰したりその活躍の資料や奇跡を展示しています。私はシンクロコーチ部門で受賞しました。

何年も前からノミネートされていましたが、あまり晴れがましいことが好きではありませんし、70歳を超えナショナルコーチも今年から辞しましたので、どうか他の方へとお断りをしたのですが、ダメです、という事でお受けすることになりました。

私が受賞した理由は1980年代初めからシンクロ競技のメダリストをたくさん育ててきたことと、1967年から日本のディレクター(シンクロ委員長)としてジャパンオープン創設に尽力、世界のシンクロの強化、アジア諸国への普及発展に力を注いだーーーーというのが評価され推挙されたとお知らせを頂きました。

この評価は嬉しかったので頂く事にしました。オリンピック種目からシンクロが外れそうな時期がありこれを阻止するために、委員長に就任と同時にスポンサー集めに奔走、理解者を募り、日本で集めた強化費を世界の皆さんと切磋琢磨してシンクロの強化を図りましょう、と世界へ呼びかけジャパンオープンを開設しました。

19年たった今も5月になると沢山の国々が参加して「ジャパンオープン兼日本選手権」が開かれ続けています。

 

 

選手とコーチは信頼と絆の関係。一緒に困難を乗り越えて初めて栄光が掴める。

 

学生(竹内)現役選手としても、コーチとしても活躍された訳ですが、コーチの役割とはどのようなものとお考えですか?

金子:シンクロは芸術性が評価される競技だけれど、運動量が多く、実は非常に激しいスポーツで怪我も多いんですよ。水を掻くために手も使うので、腱鞘炎になったりもします。

北京オリンピックのデュエットで銅メダルをとった原田早穂という選手の現役時代のことだけど、2005年の東アジア選手権の直前に捻挫して、試合会場には車イスで行った。試合で怪我をして車イスはあるだろうけれど、行きに車イスなんて見たことない、と言われました。でも、この時にデュエットで金をとっています。原田選手の現役時代は努力家として知られていたけれど、コーチの役割はそんな困難に直面したときに、選手と一緒に乗り越える、その絆と信頼関係は大きいと思っています。もちろん、選手には目的と目標があるから、コーチの役割は選手が目的を遂げること、目標まで選手を送り届けることが基本です。

 

 

 

 

 

 

大きな夢を持ち、夢を達成するための目標を確実にクリアしていく…。

 

学生(坪江):選手がモチベーションを高く持ち続けるために、どんなことが必要ですか?

金子:そうね、夢を、大きな夢を持つことですね。でも、夢を持つだけでは長くは続かない。だから、夢に近づくために目標を持つことが必要です。

学生(竹内):私たちラクロス部も、もっと上に行きたい、勝ちたいと思って練習していますが…。

金子:勝ちたいという目標を達成するためには、試合ごとに自分たちがどれだけ強くなっているかを確認することが大切。練習でも工夫をして、ひと月ごとに目標掲げてそれを達成するようにすれば、その達成感がやりがいにつながるでしょ。明確な目標を持って、それを確実にクリアしていくことが必要ね。試合に勝つためには、試合までにチームの状態をどう引き上げていくか、それを月、週、日単位の目標に換えて、スケジューリングをしっかり組んで実行していくことです。

選手にとってコーチのサポートは必要ですが、選手同士のサポートをどうするかを考えたら。本を読んでも分かることはあるから、自分たちで工夫すればいい。チームのみんなが、お互いの足りない点を発見し合うのも必要ですよね。

それに、選手から何が足りないかをコーチに聴くことも大切。ただし、それをしっかりとノートに書き留めて、いつでも確かめられるようにする、自分たちの成長の軌跡にすることです。

 

 

 

一人ひとりが自分を超える、自分を超えることでチームの勝利を掴む。

 

学生(竹内):ラクロスはひとチーム12人でボールを奪い合い、相手ゴールにボールを入れる競技ですが、チームプレイなので勝とうとする気持ちがひとつにならないと勝てません。どうやって一人ひとりの気持ちをひとつにするか、アドバイスをいただけますか?

金子:モチベーションは一人ひとりで違いますよね。チームとして、みんなのモチベーションを引き上げるためには役割分担を明確にする、役割分担を交替させながらチームのためにみんなが貢献するという気持ちを持てることが必要ですね。たとえば、道具はチームの主力選手が一番使うことになるわけだけれど、道具の管理はチームみんなで行う、ということも必要。練習でも何でも、声を掛けてチームの輪の中にみんなを引き込んでいく、ことにリーダーはそれに気を使うことね。チームが一体となって「やったー!」感をつくることですね。

その意味でもリーダーの役割は大きいと思う。自分の立場、自分の役割を理解することから始めることです。いつも同じ自分ではないことを知れば、リーダーがチームのために何をすべきかも分かってくるでしょう。

 

 

失敗の中から本当のことが見えてくる。くじけずに、失敗をチャンスと考えて夢に向かう。

 

 

学生(竹内):最後になりますが、女子大生、女子高校生への応援メッセージをいただけますか?

金子:何気なく過ごすと、時間が過ぎるのは非常に速いな、と思うでしょ。だから、今自分のいる場所、自分の立場で、何をしたいのかを考えることですね。そこから自分の夢を創っていけばいい。もう少し具体的にいえば、この一年で何をしようかという目標を決めて、その目標をノートに書いておくことです。次に、その目標をノートで確認し、次の目標を高くする。漠然と過ごせば時間は無駄に過ぎるだけですから、自分で描いた夢に向かって逆算する、逆算して今何をするかを考え実行していけば、夢に近づき、夢を達成することが出来ます。

もちろん、たくさんの失敗や失望することもある。でもピンチはチャンスというでしょ。失敗は考えるチャンスだから、そこから出発すればもっと良くなることが可能。失敗から本当のことが見えて来ます。

自分の環境が恵まれない、と思うこともありますよね。でも恵まれないからこそ気付くことがあるのね。シンクロも選手にとって環境が良くはなかった、専用の練習場もなかった。しかし、そのことが選手を鍛え、ハングリーな精神を育て、アクシデントに対応できる選手を育てたと思っています。制約が選手を強くする、困難や制約があても、それを自分を強くする条件に換えていくことですね。チャレンジしなければ夢に近づけない、そうみなさんに伝えていきたいと思います。

 

学生(二人):今日はほんとうに多くのお話しをうかがうことができ、ありがとうございました。

 

 

 

 


 

 

(2015年7月23日、東京家政学院大学附属図書館ラーニングコモンズにて)

左から竹内亜衣さん(児童学科2年)、金子正子さん、坪江美穂さん(児童学科2年)

ラーニングコモンズは、2015年より附属図書館1階につくられたアクティブラーニングのための空間です。今までの図書館のイメージを打ち破り、自由に組み換えられる机や、いろいろな情報機器が整備されています。さらに、常時、学習支援アドバイザーが学生からの学習上の相談に乗ることができるようになっています。 

 

 

 

戻る