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ごきげんよう、先輩!(第3回)病院の管理栄養士として働く、板坂菜美氏<前編>

2016/11/16

第3回 ごきげんよう、先輩!(板坂菜美氏)<前編>

 

日時:2016年10月6日(木)18:00~19:30
場所:千代田三番町キャンパス、ロビー

ゲスト:板坂菜美(健康栄養学科2014年卒、日本赤十字社 武蔵野赤十字病院栄養課 勤務)
聞き手:小林優花(健康栄養学科4年)・谷澤なつみ(健康栄養学科4年)

 

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左:小林さん、中央:板坂さん、右:谷澤さん

 

今回は板坂菜美先輩にお出でいただきました。健康栄養学科2014年卒業で管理栄養士として武蔵野赤十字病院栄養課に勤務されています。お話をうかがうのは、谷澤と小林、二人とも健康栄養学科4年です。

 

 

管理栄養士を目指した理由

谷澤:先輩はどうして管理栄養士を目指したのですか。

板坂:私、高校時代に病院の栄養課でアルバイトをしていたんです。そこで管理栄養士の仕事というのを知って、もともと食に関心もあったので、人のためになる仕事として将来管理栄養士になりたいと思ったんです。

 

武蔵野赤十字病院に勤めた理由

谷澤:現在のお勤め先を選んだ理由は何ですか?

板坂:武蔵野赤十字病院に就職した理由は、ご縁です。大学3年の春に実習に行ったのがきっかけで、急性期病院でも患者さんと密に接している管理栄養士の姿をみてここで働きたいと思いました。

(※急性期病院:24時間体制で急性疾患または重症患者に対して高度で専門的な医療を行う。発症後14日間以内が医療における急性期の目安とされる)

谷澤:今はどんなお仕事をされていますか。

板坂:50床の呼吸器病棟を担当しています。仕事内容は献立作成や栄養指導などです。現在3年目ですが、呼吸器病棟には2年目の7月に配置されました。1年目から栄養指導も担当させていただきましたから、仕事環境は非常に恵まれています。

谷澤:栄養指導はどのくらい時間をかけられるのですか。

板坂:外来では1人1時間の枠を設けており、最大は午前3人・午後4人です。病棟では時間枠はないのですが、1人30~60分くらいで行っております。大体多くても1日に4人程度栄養相談していますね。

小林:私は自分が急性期・慢性期どちらの病院に合っているか悩んでいますが、先輩はどうして急性期の病院を選んだのでしょうか。

(※慢性期病院:急性期は脱しているが、継続的な治療が必要なため長期入院をするための病院)

板坂:私は急性期、慢性期で病院を選んだわけではなく、働きたいと思った病院が急性期だったということです。基本的に急性期は入院期間が短く、短い期間で患者様を知り、栄養指導をする必要があるので、迅速な情報分析や精査が必要です。急性期、慢性期、どちらを選ぶか悩みますよね。

小林:先輩も迷われましたか。

板坂:私は子どもに食育ができる保育園に魅力を感じたことがあります。学べば学ぶほど各分野の魅力が分かってくるので迷ってしまいますよね、

谷澤:栄養指導ではどんな点に注意していますか。

板坂:管理栄養士はご当地メニューなども全部知っていると思われて話をされることもありますし、流行のダイエット法を聞かれることも多いです。患者様とのコミュニケーションが大切ですから、話題になっている情報も集めるようにしています。

小林:流行のダイエット法で管理栄養士として勧められない場合はどんな対応をしますか。

板坂:糖尿病の方が糖質制限ダイエットをして過剰に炭水化物を抜いた場合、体に負担がかかりますよ、とかを伝えるようにしています。正しい知識を伝えただけでは、患者様に納得してもらえないことがあるからです。だからメリット・デメリットを分かりやすく伝える、それが大切だと思っています。例えば、ごはんを抜くと大変じゃないですか?など、管理栄養士の目線での栄養指導だけでなく、患者様の身になって問いかけるように心がけています。

 

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大学時代の学びについて

小林:振り返ってみて、大学時代の勉強で大切だと思うのは何ですか。

板坂:調理実習は調理師と意思疎通を図るうえで必要。臨床調理実習でたんぱく制限の食事を作った経験は、患者様にこういう風につくると美味しくなりますよ、というアドバイスができるようになりました。調理は実際に作った経験があると、患者様がどういう点に苦労する可能性があるのかが分かって、適切なアドバイスができます。

谷澤:この科目をもっと勉強しておけば、というのはありますか。

板坂:生化学です。正直、大学時代はアルファベットが多い科目だという印象でしたが、人の体・栄養を理解するうえで非常に大切な科目ですね。例えば、炭水化物を食べればこう働くとか、ビタミンがどう体内で作用するのか、など栄養や医療の基礎となる分野なので、知識の裾野が広がるという意味ではやりがいのある科目ですね。また、管理栄養士は栄養や食事だけを知っていれば良い職業ではなく、人と関わる職業なので、心理学の勉強はもっとしておけばさらに良かったと思うことはあります。

 

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管理栄養士のやりがい

谷澤:管理栄養士としてのやりがいを教えてください。
板坂:食事がとれない患者様に食事調整をしていくうちに食事がとれるようになり、「管理栄養士さんのおかげで食べられるようになったよ」といわれた時は本当にやりがいを感じました。
小林:食事がとれない、例えば嚥下食の進まない患者様に対して、どのように説明をしたり、食べやすいよう工夫をしたりしていますか。
板坂:嚥下状態については医師も説明しますが、管理栄養士として患者様がより理解できるように嚥下機能などを丁寧に説明します。今、どういう状況で、なぜ誤嚥しやすいのか、誤嚥の危険性を患者様に合わせて説明しますし、いろいろ悩みなどを聴き取ります。そういう中で、嚥下食に抵抗があり食べられないという患者様に対しては、抵抗が少なそうな雑炊やおじやを勧めたりします。また、食事中に訪問し、食事状況を確認することもあります。むせこむタイミングや食形態を確認し、患者様に説明を行います。患者様の実情を踏まえながら説明をすることで理解を促すことも大切にしています。
小林:大変ですね。
板坂:でも、それがやりがいなんですね。患者様が美味しそうに食事をしている姿を見ると、頑張って良かったと本当に思います。また、患者様の中には、退院後食事を自分で作らないといけないが、病状的に難しい場合があります。その時には看護師と情報共有しながら患者様のQOL(※quality of lifeの略。生活の質)を下げないように宅配食の手配などもします。またヘルパーさんが介入している方にはこのぐらいの食事量は必要ですと食事量の確認をお願いすることもあります。こういう他の医療従事者と連携して患者様を支えることができることや、退院後の患者様を想定して計画を立て患者様の未来をつくることができる点もやりがいですね。

 

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後編に続く

 

 

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