東日本大震災から10年目(理事長メッセージ)

東日本大震災から10年を迎えるにあたって

 

東日本大震災から10年目の3月11日を迎えます。教職員の皆さんとともに、犠牲になられた方々を追悼し、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。大切なご家族や友人を失った人々の悲しみ、津波や原発事故で生活を一変させられた人々の苦労を思うと、胸が苦しくなります。

私事になりますが、私は岩手県釜石市にある製鉄所に勤務したことがあります。かつての同僚が犠牲になり、同じ職場の先輩は娘さんを亡くしました。自分が住み親しんだ街が津波にのまれる様子を現実として受け入れるのに時間がかかったことを覚えています。

東京都内も震度5強から5弱の揺れに見舞われ、かつて経験したことのない強く長い揺れに恐怖を感じた方も多かったのではないかと思います。帰宅できずに学院内で一夜を明かした方もおられたでしょう。当時、校舎建替えのため、私の研究室は神保町のオフィスビルにありましたが、天井パネルの大半が落下するという事態に遭遇しました。幸いにも別室におり負傷は免れましたが、急遽立入禁止措置がとられた部屋を見て慄然としました。

あのような災害は二度と起きてほしくないと誰もが思います。しかしながら、政府の地震調査研究推進本部による30年以内の地震発生確率を見ると、マグニチュード8〜9の南海トラフ地震は70〜80%とされ、都内でも震度6弱から5強程度の揺れが予想されています。このほかにもいわゆる首都直下型地震の切迫性が指摘されています。

世界の地震の約1割が日本及びその周辺で起きています。地震学者は日本中のどこであっても地震は起こりうると言います。過度に恐れる必要はありませんが、日本列島に住む以上、私たちは頭の片隅にそのことを常に置き、どうすれば被害を最小限に食い止めることができるかを考えておかなければなりません。

学院は、大切な学生・生徒の皆さんをお預かりしています。様々な場面を想定しながら、彼女たちをどのようにして守るか、安否確認をするか、支援するかなど、平時から考え、備えておく必要があります。

また、学生・生徒の皆さんには、日本列島の美しく豊かな自然と地震・火山災害は表裏の関係にあることを理解し、自然と生活・文化について考え、防災意識を高める機会にしてほしいと思います。学院全体で、地震や防災について共に学ぶ講演会のようなものを企画しても良いのではないかと考えています。

3.11の記憶を風化させることなく、この経験を通じた学びを将来に生かす。10年目を迎える私たちにとって大切なことではないかと思います。

 

学校法人東京家政学院

理事長 吉 武 博 通

東日本大震災から10年目(理事長メッセージ)(PDF:80KB)

 

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