先月、学内サイトにて2010年開始の『江戸エコ行楽重』、「EDO→ECO」小冊子をご紹介いたしました。現在も変わらずに楠公レストハウスにて『江戸エコ行楽重』を注文された方に配られています。また、小冊子には【本学附属図書館】大江文庫所蔵の図版がいくつか掲載されています。
6月からは小冊子に掲載されている『都鄙安逸伝』『竈の賑ひ』などが町田キャンパスにて展示中です。また、千代田三番町キャンパスでは[江戸・明治時代の庶民のくらし]をテーマにした折本などが展示されています。9月末(もしくは10月初旬)には、両キャンパスの展示内容を入れ替える予定となっていますので、ぜひこの機会にご覧ください。
『江戸エコ行楽重』がはじまり、長い年月が経過しましたが「ECO」な江戸時代の生活を現代におきかえて実験・実証した当時の学生たちとの時間を振り返ってみたいと思います。
開発までの遠い道のり
料理書から再現した江戸料理のレシピの試作・試食は何度も繰り返し『江戸エコ行楽重』が完成するまでには、1年以上かかりました。また、江戸時代を想定した食事献立を江戸時代に近い調理道具や方法で作り、燃料や水の使用量などを測定して現代の方法による同じ食事と比較する実験も行われ、本学の学生数名が江戸と現代の食事作りの実験に協力しました。
ここでは、江戸後期の建物を移築した「北区ふるさと農家体験館」で行われた江戸時代を想定した調理について紹介しましょう。
ご飯はかまどで炊き、みそ汁、魚の塩焼き、煮物などは七輪に炭火をおこして作りました。
下記の写真は、それぞれ「かまどの火の調整」、「七輪の火をおこす」、「火吹き竹で火をおこす」などの様子です。
汲み置いた水はひしゃくで汲んで使いました。
学生さんたちも初めての体験でしたが、他の方々も含めて興味津々で楽しみながら、測定もしながら進めました。
とくに水の使用量は、現代に比べて格段に少ないことがわかりました。
余談ですが、かまどで炊いたお米3㎏のご飯の残りは塩むすびにしましたが、その美味しさに驚かされました。
彼女たちは、誠実に気持ちよく動いていましたので、皆さんからおほめのことばをいただいたのは嬉しいことでした。写真から当時の様子をご想像ください。
水道水は使用しましたが、汲み置いた水をひしゃくで使って作業をしていました。蛇口をひねれば「水」が自動に出てくるのが当たり前の学生たちには大変な作業でした。
江戸時代の味を再現することの難しさはもちろん、学生たちの奮闘ぶりなど様々なエピソードがたくさんありました。
小冊子には、簡単ですが現代と比較した調理の様子も掲載されています。
『江戸エコ行楽重』の開発に携われた三神 彩子氏(現東京ガス都市生活研究所所長)が主となりまとめられた論文「江戸時代および現代の通常調理とエコ・クッキングによる調理との比較」は、2012年日本家政学会誌に掲載されています。
*エコ・クッキングは東京ガスの登録商標です。
日本家政学会 学会誌・論文投稿 | (一社)日本家政学会 (jshe.jp)(外部リンク)
「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)
江戸時代および現代の通常調理とエコ・クッキングによる調理との比較 (jst.go.jp)(外部リンク)
楠公レストハウス
(『江戸エコ行楽重』ほか、江戸の「食」を楽しめます)
https://fng.or.jp/koukyo/place/rest/nanko-rest/(外部サイト)
エコ・クッキングプロジェクト
(エコ・クッキングプロジェクトの詳細)
https://home.tokyo-gas.co.jp/shoku/eco-cooking/project.html(外部サイト)
東京家政学院大学図書館報
(図書館の情報をまとめてお届け)
https://www.kasei-gakuin.ac.jp/facilities/kasei-library/kanpo/
東京家政学院大学附属図書館 大江文庫
(小冊子に掲載されている図版などを所蔵しています)
https://www.kasei-gakuin.ac.jp/facilities/kasei-library/ooe-mokuroku/
【附属図書館】大江文庫所蔵[江戸・明治時代の折本などに描かれた庶民のくらし](三番町)[江戸時代の料理書](町田)を展示中
https://www.kasei-gakuin.ac.jp/news/20240621-27073/