現代家政学科へ入学した理由と印象に残っている学び
本学科への入学を決めた理由を教えてください。
食への関心が高かったことが一番の理由です。高校時代の進路面談で好きなことを聞かれ、「食べることです!」と元気よく答えたほどでした。それならと家政系を先生に勧めていただいたのが、本学科に興味を持ったきっかけです。知識を詰め込むだけでなく、演習や実習、校外でのフィールドワークを織り交ぜたカリキュラムに惹かれ、ここでなら自分も楽しく学べそう!と思えたのも志望した理由でした。
実際、入学してすぐのオリエンテーションキャンプ(宿泊行事)で、食と地域活性化のつながりを肌で実感する出来事がありました。埼玉県の比企郡で、地元野菜の『のらぼう菜』を使ったコロッケ弁当をいただいたのですが、「こんな野菜があったんだ!」「食を通じた町おこしっておもしろい!」と初めて知ることに興味津々でしたね。
卒業論文でもその経験が活き、「江戸東京野菜の流通と活用」というテーマで、のらぼう菜・東京ウド・内藤とうがらし・練馬大根という4つの野菜について研究しました。1年生で学んだことが4年生でつながったり、別授業で学んだこととの関連性を見出して紐付けられたりするのも、本学科で学ぶ楽しさでしたね。ただ漠然と食べることが好きだった高校時代から、気がつくと「食について、あらゆる視点で学ぶことが楽しい」と思える大学生になっていました。
現在の仕事と家政学のつながり
卒業後、在学中の学びは社会でどのように活かされていますか?
卒業後は、西武信用金庫に就職しました。街づくり支援担当として、地域活性化・地域課題の解決に取り組んでいるNPO法人や企業等の支援をしています。今の仕事を選んだきっかけは、1年生の基礎ゼミの授業で西武信用金庫の職員による講義を聞いたことでした。特に興味を持ったのは、地域の金融機関として開催している「物産展」の取り組みです。食を通じた地域活性化や食文化の学びを業務に活かせたらと入庫を決めました。
現在の職場でも、在学中の学びが大いに活きています。物産展での接客や商品説明はもちろん、食品メーカーとの商談の場で栄養素の話題になると「よく知っているね!」とお客さまから言われることもあり、思わぬところで食の知識が役立っていますね。金融業界は経済・経営学部出身の方が多いですが、家政学を学んできた私だからこそできる仕事や働き方があると実感しております。
また、コンピューター演習・概論の講義を受講し、情報処理検定2級を取得していたことから、デスクワークにも自信を持って取り組むことができました。データ分析やその活用の仕事を任されたり、同僚が操作方法に困っていたら教えたりと、職場でも頼りにしていただくことがあります。
家政学は、生きていく力を養う実践的な学問です
髙橋さんが考える「家政学」の捉え方について教えてください。
家政学を学んでいたと言うと、未だに「嫁入り修行してきたの?」と昔ながらのイメージを抱く方もいるのですが、とんでもない!家政学は、時代に合わせてどんどん変化していると感じています。私自身、総合家政・衣・食・住と多角度から学ぶことで、できることや興味の領域も広がり、卒業後は「金融業界で食の知識を活かしたまちづくり支援がしたい」という具体的な進路を選ぶことができました。今でも情報処理や食材の調理の仕方を確認したいときは、在学中のノートを見返すこともあるんですよ。それくらい、大学での学びは暮らしで役に立つものばかりでした。
また、人としての立ち振る舞いやマナーを教えていただく機会もあり、社会人になって有り難さをしみじみと実感しています。例えば、テーブルマナー。社会に出ると間違った作法をわざわざ指摘してくれる方はなかなかいません。在学中に先生からしっかり教育していただいたおかげで、どこへ行っても恥ずかしくない社会人になれたように思います。私にとって本学科の家政学は、多様化する現代において「時代に合った、生きていく力」を養うことのできる、生活全般において実践的な学問でした。
受験生・保護者へメッセージ
最後に、受験生・保護者へのメッセージをお願いします。
何がやりたいのか、まだはっきり決まっていない方にこそ本学科をおすすめしたいです。私も入学当初は具体的な将来を描けていたわけではありませんでしたが、食生活・ファッション・ハウジング・総合家政…と幅広い学びを通して、自分でも気づかなかった興味の領域を見つけることができました。
また、多角的に家政学を学びたい学生が多いため講義中はいろいろな意見が飛び交い、自分の意見も肯定してもらえる環境に恵まれ、自分に自信を持つことができました。受験生の皆さんは不安に思うこともあると思います。でもどうぞ安心してください。卒業生として、本校は家政学の最高峰だと胸を張っておすすめできる大学です。
取材・執筆:貝津美里