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「学生が主役」の姿勢を持つ“先生のロールモデル”がたくさんいます

卒業生

食物学科

小林 由佳

家庭科の先生を目指して食物学科へ

本学科への入学を決めた理由を教えてください。

中学時代の恩師にとても感謝していて、愛情を持って子どもに接することができる教師という仕事に惹かれました。親や先生から厳しいことも含めて多くのことを教えていただいたから今がありますし、私もそのような立場になりたいという思いが教員を目指した原点です。

食物学科を選んだのは、家庭科教員免許が取得できるだけでなく、他にも幅広く栄養や食について学べると思ったからです。家庭科教員免許を取得する際に、主に被服を強みにして学んでいくか、栄養などを中心に学びを深めていくかを考えた時に、食物学科であれば栄養方面での資格も取れると知って受験しました。また、オープンキャンパスや受験の手続きにおいて、先生方が温かく対応してくださり、その距離の近さにも魅力を感じました。

現在は、相模原市の中学校で家庭科教諭、特別支援学級の担任をしながら、吹奏楽部の顧問もしています。最初は家庭科という教科に特別な思い入れがあったわけではないのですが、大学で学ぶうちに奥深さを感じ、今ではとても好きな教科です。

おもしろい授業を生徒の視点で観察

本学での4年間で印象に残っていることはありますか。

入学前に感じた先生との距離の近さは、入学してからも実感することばかりでした。少人数で質問がしやすく、授業の合間にお喋りしながらアドバイスをもらうこともありましたね。先生方も仲良いからこそ親身になって意見をくださるので、よく授業終わりに自分の考えなどを話しに行っていました。先生方が「学生の学びこそ主役」だとずっと伝えてくださっていたのが忘れられず、教員になった今も常に心に留めています。

また、講義の内容だけでなく、授業の手法も先生方から学ぶことが多くありました。ある先生の授業ではスライドがおもしろくて釘付けになり、どうすればこんなふうに魅力的なスライドが作れるんだろうと考えていました。導入でグッと引き込まれる先生の授業では、その後の講義も集中して聴けることがわかったり。現在、自分が行う授業でも最初に生徒たちの心をつかむ導入を取り入れようと力を入れています。授業の構成や実習時の指導など、教員としての授業力を生徒の視点で学び、先生方の教える姿勢や考え方を吸収できたことが今に活きています。

家政学はどの分野でも人を大事にすることに繋がる

小林さんが考える「家政学」の捉え方について教えてください。

“食べること”が自分や周りの人の幸せに繋がるということを食物学科で教わりました。例えば、授業で紹介されていた終末期医療の患者さんは、普段は流動食なのにリクエスト食であれば固形でも食べられるんです。食事は生きる力になる、ということを学びましたね。他にも、人と仲良くなりたいときに食事に誘うのは、コミュニケーションとして食が機能しているからだというのも興味深いと思いました。理科の分野での食は生命の維持ですが、家政学では精神的・社会的な意味を見出せることが奥深いと感じています。

衣服や住居に関しても、生徒たちにはどこかで誰かが働いて作ってくれていることを教え、「ひとりでは生きられないんだよ」と伝えることを意識しています。自分で授業をしながら、家政学のどの分野を教えていても「人を大事にすること」に繋がることを実感していますね。

受験生・保護者へのメッセージ

最後に、受験生・保護者へのメッセージをお願いします。

教員になってみて、子どもと接する上で自分の引き出しが多ければ多いほど多方面からの指導ができると感じています。私が自分の幅の広さを感じることができているのは、大学で教員免許以外にも、フードコーディネーターや食空間コーディネーターなど、さまざまな資格や仕事内容について学ぶ機会がたくさんあったからだと思います。先生方は手厚く丁寧にサポートしてくださいます。先生との距離が近いということは、できない子をそのままにしておかないということです。学びへの意欲を高め、必ず自身の成長に繋がる環境ですので、安心して飛び込んできてください。

取材・執筆:ウィルソン麻菜

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